ギックリ腰の予防と対策
ぎっくり腰は何げない動作でも起こる
ぎっくり腰の痛みは、経験者でないとわからないほどつらいものです。
ほとんどの人は激痛に顔をしかめ、その場で横になったまま動けないほど。
一般にぎっくり腰は、重いものを持ち上げたときに起こりやすいといわれます。
ところが実際には、咳やくしゃみをしたとき、ベッドや布団からからだを起こそうとしたとき、顔を洗うとき、
いすに腰かけて横や後ろのものを取ろうとしたとき、ゴルフや野球の素振りを軽くしたときなど、さまざまなケースがあります。
日常の何げない動作をしたときに、だれにでも起こりうるものなのです。
ぎっくり腰は従来、急性の一時的な腰痛と思われていました。
ところが適切な手当てをせず長引かせてしまうと、慢性の腰痛に進むケースが少なくありません。
とくに中高年の場合には、しっかりケアをしないと再発しやすい傾向もみられます。
さらにぎっくり腰をきっかけに、ほかの病気が発見されることもあるのです。
それだけに、ぎっくり腰を起こしたときの対策や再発を含めた予防について、きちんと知っておくことが大切です。
ぎっくり腰はなぜ痛い
ぎっくり腰は、なぜ痛いのでしょうか。
その理由のひとつは、腰を支える靭帯や筋肉に急に負担がかかり、断裂を起こし、それが神経を刺激するためです。
ちょうど強い捻挫を起こしたのと同じ状態なので、腰の捻挫ともいわれます。
しかし、痛みの原因はそれだけでなく、腰の中央に連なる椎骨の関節とその周りの膜(関節包)、
さらに椎間板(軟骨)などが傷つき、神経を圧迫することからも起こります。
人によって、また原因によっても異なりますが、こうした痛みが重なることで、強い痛みになるのです。
中高年の場合には、加齢や運動不足のために腰を支える筋肉が弱くなり、腹筋と背筋のバランスが乱れていることがあります。
また、椎骨の関節や椎間板が変形し、いわゆる椎間板ヘルニアなどを起こしている場合もあります。
こうしたケースでは、ぎっくり腰を起こすと症状もひどくなりがちなので、とくに注意する必要があります。
もし、ぎっくり腰になったら
ぎっくり腰を起こすと、当初は動くことも立ち上がることもできないのが普通です。
その場合には横向きに寝て、腰を丸めた姿勢をとると、少し楽になります。
激しい痛みがある2~3日間は自宅で安静にし、その後病院に行くようにしましょう。
自分で車を運転するのは危険なので、やめたほうがいいでしょう。
自宅で安静にしている間は、マッサージなどをしてはいけません。
湿布薬などで、痛みをやわらげる程度にしましょう。
冷湿布か温湿布か迷うところですが、
靭帯や筋肉の断裂により出血や炎症を起こしているケースでは、一般的には消炎作用のある冷湿布のほうが適しています。
お風呂などで温めるのは逆効果になりがちなので、最初のうちはあまり温めないようにします。
痛みが少し落ち着いたら、冷湿布でも温湿布でも、本人が心地よいと感じるほうにします。
痛みが落ち着いたら早めに動く
2~3日して痛みが落ち着いてきたら、少しずつ動くようにしましょう。
従来は、痛みが治まるまでは寝ているほうがいいとされていましたが、
最近では早めに動き始めたほうが回復も早いことがわかってきました。
ただし、無理は禁物です。
痛みの程度をみながら、自宅の中などを少しずつ歩くようにします。
また病院を受診し、検査を受けることも大切です。
病院では鎮痛薬などのほかに、布製のコルセットをもらっておくと、歩くのが楽になります。
強い痛みが治まったら、お風呂で温め、靭帯や筋肉の緊張をやわらげます。
温めると血行もよくなり、回復も早まります。
ただし腰の痛みに加えて、発熱や冷や汗などの症状が続く場合には、
ほかの病気の可能性もあるので、早めに検査を受ける必要があります。
ぎっくり腰や腰痛の原因として、腎結石やすい炎、たんのう炎などのほか、
脊髄腫瘍など重大な病気が隠れている場合もあるからです。
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