骨盤の歪みから生じる妊娠、出産へのリスク
骨盤の歪みによる影響は、痛みや日常生活での不便さだけではありません。
重症化すると、妊娠継続や出産、産後にまで危険がおよぶこともあります。
骨盤が強い痛みを発するようであれば、危険のサインかもしれません。
骨盤のゆがみによるリスクをご紹介します。
骨盤の役割
具体的にお話する前に、まずは、骨盤の役割を知りましょう。
人体の上肢と下肢の中心に位置する骨盤は下部で身体を支え、上部で脊柱を通じて脳を支えています。
それだけではなく、臓器の受け皿としての役割、2足歩行を支える役割や
座る時の身体全体の台座としての役割などがあります。
特に女性にとって骨盤はとても重要で、骨盤の形を変えて妊娠・出産を可能にします。
便秘や頻尿
骨盤の歪みによって、内臓の位置がずれて消化器管の働きが悪くなります。
その為に、何日も便秘が続いて食欲不振になり、赤ちゃんに栄養が行きわたらなくなってしまうことがあります。
突然のめまいによって転倒してしまうケースもあります。
妊婦さんで頻尿や尿漏れに悩んでいる方も多いですが、それも消化器官の働きが悪くなっていることが原因です。
大きいお腹のために、どうしても前かがみな姿勢になりやすいですが、
定期的に背中を伸ばしたり、歩く姿勢や座る姿勢を意識してください。
便秘があまりにも辛い場合は、早めに病院かクリニックに相談しましょう。
妊婦さんでも飲める便秘薬を処方してくれます。
早産
骨盤の歪みによって、子宮が予定日より前に下ってくることもあります。
子宮と一緒に赤ちゃんも下がり、子宮と骨盤底筋群の間に子宮頸管が押しつぶされてしまいます。
圧迫による刺激で子宮収縮が起き、子宮頸管が短くなり、切迫早産になってしまうことがあります。
妊娠高血圧症候群
骨盤の歪みによって子宮や他の内臓が下がると、子宮の血液の流れが圧迫され、うっ血してしまいます。
そのため、古い血液がたまりやすくなってしまいます。
さらに、同じことが腎臓でも起きてしまい、腎機能が弱り、タンパク尿が出て、血圧が上がります。
そのため、胎盤に送る血液量が減って胎盤が弱ると、赤ちゃんに充分な栄養が行き渡らなくなってしまいます。
これは、妊娠高血圧症候群と呼ばれる症状で、お腹の赤ちゃんが十分に成長できないとても危険な症状です。
逆子
通常、出産までに赤ちゃんの頭は下を向きます。
しかし、まれに頭が下を向かずに出産を迎えてしまうことがあります。
その状態を逆子(さかご)といいます。
逆子の多くは、骨盤の歪みによって赤ちゃんが下がり、
赤ちゃんのおしりがママの骨盤にはまってしまって抜け出せないことが原因です。
出産に時間がかかる
出産の時、赤ちゃんは狭い骨盤輪を顎をひいた体勢でくぐり抜けます。
しかし、骨盤が歪んでしまっていたり、広がりすぎてしまっていると
あごをあげた状態で狭い骨盤輪をくぐろうとします。
そのために、うまく骨盤を通過できず、出産に時間がかかってしまい
帝王切開や吸引分娩になってしまうことがあります。
出産前後の大量出血
出産時、骨盤が歪んでいると赤ちゃんの頭が子宮頸管にひっかかったり、
骨盤と赤ちゃんの頭に挟まれて裂傷し大量出血してしまいます。
また、出産後には開いた骨盤がもとにもどり、子宮も元の大きさに戻るために縮もうとします。
しかし、骨盤がゆがんでいると、骨盤が開いたままの状態になってしまうことがあります。
骨盤が開いたままの状態が続くと、靭帯が伸びてしまい、うまく縮まることができずに出血することがあります。
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